初めての邂逅。
降りしきる雪の中、夜の復讐の炎と闇の哀しき願いが静かに、
そして激しく交差する。
美しき闇の帝王が告げる言葉。
いったいその真意はどこにあるのか。
――さぁ、戦いを始めましょう。
闇の帝王を愛した気高き女王。
彼女が垂れた頭はそのまま永久に上がらぬものと成り果てた。
血のように赤い薔薇を墓前に捧げる彼女に求めたもの。
どうか――どうかその腕で闇に救いを。
その手で闇に永遠の眠りを。
この世界を護るために。
――だめ、殺される。
そう覚悟した時に現れたのは、現れるはずのない人の姿。
なぜここに来たの。
どうして私を助けるの。
貴方は私の敵でしょう――?
たった一晩でもたらされた変化は沙夜を大きく変えた。
認めたくない感情、認めざるを得えない事実。
複雑に交じり合う願いを持つ二人は星空に何を想うのか。
それは決して叶えられることのない願い――。
分かっては、いたけれど。
緋き月の夜、呼び起こされた狂気は嗤う。
欲するのは若き乙女――夜の狩人の、穢れ無く甘い血。
日々、狂気に侵されていく闇は絶望の中、ただひとつの夢だけを渇望する。
どうか。どうか早く。
希う声は決してその少女に届くことはないと、わかっていても。
夜の空気を震わせて鳴く妖剣は幾多の血を吸い、強くなっていく。
――さあ、復讐の舞台は整えられた。
相反する感情に翻弄される少女は揺れる白月を映す十字架と剣を抱き。
惑いと迷いを胸に秘めたまま、底知れぬ闇へと一歩を踏み出す。
【深冷の闇に堕ちる夜華は蒼く】
【朱の光は黄昏にたゆたう】
【暗闇は深緋に染まる】
【君の幽(かそ)けき歌声に】
【闇に哀しき緑龍の啼く】
【夜の涙は雪花へ落ちる】
【最後の一葉に闇の願いを】
【千紅は氷上に散る】